文部科学省が設置した有識者検討会が、国立大学などの施設の長寿命化に向けた基本的な考え方をまとめた。長期的に必要になる施設と将来的に不要になる施設の選別や、個々の施設特性に応じた整備内容の重点化が柱。引き続き検討会で内容を精査し、2018年度末までに報告書を作成する。大学が個別施設計画の作成や施設マネジメントを行う際の基礎資料として活用を促していく。
国立大学施設のうち、築25年以上で改修が必要な施設の面積は17年度時点で874万平方bとなり、全体の約30%を占める。さらに屋外排水管(雨水)の78%、屋外給水管の40%が整備から30年以上経過するなど基幹設備の老朽化も進行。一方で修繕費は減少傾向で、維持管理の効率化が課題となっていた。
検討会は、長寿命化の考え方として、施設の将来にわたる必要性や老朽化の度合いに応じて優先順位を付けるべきだとした。その上で、整備の在り方について▽重点的な投資により機能向上させる▽主に物理的な性能を維持する▽最小限の投資により安全性を確保する―の3パターンを例示。さらに、老朽化の進んだ施設については改築や集約化、利用の少ない施設では減築・取り壊しを検討する必要があるとした。
今後は長寿命化の優先順位付けに際しての指標や、施設の部位ごとの耐用年数などの検討を深める。その上で、国立大学法人の意見なども踏まえて報告書を作成する。
提供:建通新聞社