建設経済研究所と経済調査会は、2018年度の建設投資(名目値)を前年度比0・1%増の53兆8600億円となる見通しをまとめた。前回の見通しから4700億円を上方修正し、前年度(1月)と同水準の投資額を維持する見通しを立てた。上方修正の要因の一つには、19年10月の消費増税に伴う駆け込み需要を見込んだことがあるが、その影響は14年の消費増税時に比べると小さいとみている。
駆け込み需要の影響が最も大きいと見ているのは民間住宅投資。住宅着工戸数は1・3%増の96万5000戸、投資額は0・3%増の15兆9000億円となる見通し。個人の消費マインドに左右される持ち家の着工戸数は5・4%増の29万9000戸と最も高い伸び率を見込んでいる。
貸家は、駆け込み需要の影響が小さく、相続税対策による着工が一服するため1・1%減の40万8000戸に減少すると見ている。分譲住宅は0・6%増の25万2000戸と横ばいと予測。販売価格と在庫率の高止まり、販売適地の減少が続くマンションは4・4%減の10万8000戸と落ち込むが、戸建て住宅の着工戸数は駆け込み需要の影響で4・6%増の14万5000戸に上昇するとみている。
民間非住宅建設投資は0・2%減の16兆1600億円と横ばいで推移すると予想。用途別の着工床面積は、事務所が560万平方b、工場が900万平方b、倉庫が960万平方bといずれも前年度と同じ数字を見積もった。ネット通販の利用拡大など、消費者の購買形態の変化もあって、店舗のみは1・7%減の570万平方bと減少に転じる見通しだ。
18年度の政府建設投資の見通しは前回と変わらず、0・1%増の21兆8000億円を見込んでいる。政府の18年度当初予算に盛り込まれた国の直轄・補助事業費に加え、16年度補正予算、17年度補正予算の一部を出来高として積み上げた。
提供:建通新聞社