財務省は、4月25日に開いた財政制度等審議会財政制度分科会で、公共事業の投資効率が低下傾向にあるとし、事業評価の厳格化を図るよう求めた。整備新幹線を例にコスト管理の適正化を図る必要性を訴え、事業評価の実効性を高めるべきと指摘した。人手不足による供給制約が高まっていることについても指摘し「総需要追加のための公共事業の必要性は乏しい」と主張した。
公共事業に対するこうした考え方は、財政審が2019年度当初予算案の編成を前にまとめる建議に反映する。同省は例年、「量から質への転換」「人手不足に伴う供給制約」といった視点で各省庁に公共事業費の抑制を迫っており、25日の会合では、事業評価の厳格化を柱に新規事業を厳選するよう求めた。
具体的には、整備新幹線の事業評価のプロセスが十分に機能せず、適切なコスト管理が行われていないと指摘。北海道新幹線(新青森〜新函館北斗)では、開業前の想定に比べて赤字が大幅に拡大し、JR北海道の経営を悪化させているとした。
このため、公共事業の事業採択に当たり、客観的な見通しを定めることを制度的に担保し、北海道新幹線のような事例が繰り返されないようにするべきとした。その上で、社会資本の整備水準が向上し、公共事業の投資効率(限界生産性)が低下しているとして、費用便益分析をはじめとする事業評価を徹底し、投資効率の向上に努めるよう求めた。
さらに、インフラの維持補修・更新費の増加を抑制することも要請。国交省の直轄国道では、予防保全型の維持修繕により、今後20年で約5000億円を縮減する効果があると試算しており、地方自治体にも予防保全型の導入による効率化を徹底するよう求めた。
提供:建通新聞社