建設経済研究所は、全国の元請け企業を対象に、技能労働者の確保・育成に関するアンケート調査を行った。調査結果によると、下請け企業に支払う労務費を「公共工事設計労務単価と同水準に引き上げている」と回答した元請け企業は50%超で、公共工事、民間工事での差はほとんど見られなかった。一方、社会保険加入に向け、自社・下請け企業の技能労働者の社員化(直接雇用)の動きがあると回答した企業が34・1%あった。
アンケート調査は、昨年11〜12月に資本金1億円以上の元請け企業を対象に行い、有効回答数は299件だった。
調査では、下請け企業に支払う労務費の変化を▽国交省の直轄工事▽国交省以外の国発注工事▽国以外の発注工事▽民間工事―でそれぞれ聞いた。労務単価と同水準で労務費を引き上げた企業は、国以外の発注工事で56・1%と最も高く、国交省直轄工事で52・8%、国交省以外の国発注工事で51・7%となった。
民間工事も50・9%と公共工事との間に大きな差はない。労務費を「労務単価を上回る水準に引き上げている」と回答した企業も含めると、民間工事(60・3%)が国交省直轄工事(59・7%)を上回る結果も出ている。
しかし、民間工事では「労務費を引き上げていない」と答える企業が16・6%あり、10%前後の公共工事を大きく上回っている。
この他、技能労働者を社会保険に加入させるため自社・下請け企業に「社員化(直接雇用)の動きがある」と回答した企業は全体の34・1%あった。しかし逆に「一人親方化の動きがある」と回答した企業も16・8%あった。
提供:建通新聞社