国土交通省は、直轄事業の「土木工事共通仕様書」と「地質・土質調査業務共通仕様書」を改定し、地質・土質調査と工事の受注者に地盤情報を「地盤情報データベース(仮称)」に登録することを義務付けた。従来から行っている発注者への電子成果品の納品に加え、官民が所有する地盤情報のプラットフォームの役割を果たす地盤情報DBに地盤情報の登録を求める。工事の受注者が追加調査を行う場合もDB登録を義務付ける。
地盤情報DBは、昨年12月の社会資本整備審議会・交通政策審議会の答申で構築が提言された。答申では、地盤情報が十分に把握されていないことが施工不良や大事故を引き起こす原因になっていると指摘し、官民が所有する地盤情報を収集・共有するDBを構築するよう求めていた。
この答申を踏まえ、国交省は、公共工事・民間工事で把握した地盤情報を集約するDBの構築を進めている。検定を受けて品質を確保した地盤情報を面的に活用し、その後の地質調査の効率性を高める。
共通仕様書では、このDBの構築を見据え、まず直轄事業で地盤情報の登録を受注者に義務付ける。地質・土質調査の受注者には、ボーリング柱状図、土質試験結果一覧表の登録を義務化。工事の受注者にも、施工段階で追加調査を行った際、成果品の登録を求める。
国交省は、直轄事業での登録義務化を皮切りに、他の公共工事、民間工事、ライフライン工事にもDBへの登録、活用を広げる考えだ。
「追加資料作成=発注者が費用負担」
また、今回の土木工事共通仕様書の改定では、受注者が監督職員の指示で設計図書の照査範囲を超える資料を作成する場合、発注者が資料作成の費用を負担することを明確にした。共通仕様書では、施工前・施工途中での設計図書の照査を受注者の自己負担で行うよう求めているが、監督職員の指示があり、照査範囲を超える資料を作成するケースについては、設計変更の対象として扱う。
提供:建通新聞社