【連載】ツタワルドボク(5) デザインマンホールの考案者
マンホールハンター 出水享
路上にある直径60pの丸い鉄『マンホール蓋』。マンホール蓋の下には、市民の生活に大切な上水道、下水道などの地下インフラがある。そのため、マンホール蓋は市民が見ることができる唯一の地下インフラといえる。しかし、マンホール蓋は足元にあるためその存在を認識していない市民が多い。
しかし、今まさに、地下インフラの関心を高めるチャンスが到来している。全国でデザインマンホール蓋が注目を浴びているからだ。デザインマンホール蓋は日本全国各地に存在する独自の絵柄が施されたマンホール蓋のことをいう。その絵型には地域のシンボルである花や木や鳥、あるいは観光名所、歴史や文化、名産品といったものまで、さまざまなデザインが施されている。そのデザインは約1700の自治体に合計1万2000種類が存在するといわれている。デザインマンホール蓋に魅了されて全国を旅しながら蓋の写真を撮り歩く『マンホーラー』と呼ばれる人達が急増し、地下インフラへの関心が高まりつつある。
デザインマンホール蓋の発祥は、1977年に設置した沖縄県那覇市だといわれている。写真が日本初の沖縄県那覇市のデザインマンホール蓋である。中央に那覇市の市章が施され、その周りに可愛い魚(カスミアジ)が口を開けて泳いでいる。この蓋には生活排水等を下水処理施設で綺麗にして海に流し、魚が住みやすい環境をつくるという意味が込められている。この蓋のデザインを考案したのが当時の那覇市の土木技術者である。マンホール蓋にデザインを施すだけなく宝の海を守りたいという意志を込めた当時の土木技術者のユニークな発想に頭があがらない。
デザインマンホール蓋に関心が高まっている今こそ自治体や土木技術者はデザインマンホール蓋を利用したイベントの開催やグッズ販売を積極的に行い、地下インフラの存在や役割を市民にアピールしてほしい。チャンスを逃すな!!