国土交通省は、2018年度から建設業許可と経営事項審査の申請書類を電子化するための検討に入る。電子化と提出書類の簡素化で、申請する建設企業と審査する許可行政庁の負担を軽減する。許可申請時に提出される工事経歴書などを民間発注者向けにウェブで公開することも検討する。18年度に都道府県と許可業者を対象にアンケート調査を行い、簡素化が可能な提出書類などについて意見を聞くとともに、電子化までの工程表を18年度中にまとめる。
現在、建設業許可と更新は、許可行政庁(地方整備局、都道府県)が全て紙ベースで書類を受け付けている。経審の申請では、登録機関が行う経営状況分析は電子化されているが、許可行政庁に提出する経営規模等評価の申請や総合評定値の請求は紙ベースのままだ。
建設産業政策会議の『建設産業政策2017+10』でも、電子申請の採用で申請側・審査側双方の負担を軽減するよう求めている。国交省は18年度当初予算案に調査費1400万円を計上し、18年度から電子化に向けた本格的な検討を始める。
許可の申請書類には、許可要件の審査書類(専任技術者一覧表、経営業務の管理責任者証明書、賃借対照表、商業登記簿謄本など)、閲覧が可能な添付書類(工事経歴書など)、許可要件の適合を判断するための確認書類などがある。この中には、工事経歴書など経審の申請書類と重複するものもあるという。
18年度に行うアンケート調査で、書類の簡素化について都道府県と許可業者から意見を聞く。アンケート調査に加え、検討会を設置して電子化の課題などについて有識者の意見を聞くことも考えている。書類の簡素化に伴い、審査の精度を維持できるよう、チェック体制の強化や虚偽申請に対する処分の厳格化も図る。
18年度中に電子化までの工程表をまとめ、19年度以降にシステム構築などの具体的な検討に入る。許可申請を電子化することで、大臣許可申請の都道府県経由事務は廃止する方針だ。
また、許可申請時に提出する工事経歴書や財務諸表などをウエブ上に公開することも検討する。民間の個人発注者らが受注企業を適正に評価できるよう、許可業者の企業情報を得やすい環境を整える。
提供:建通新聞社