建設業が10年後も現場力を維持できるようにするための制度インフラの再構築を提言した『建設産業政策2017+10』がまとまって半年が経過した。国土交通省は昨年末までに、電気通信工事の技術検定創設、2級技術検定の年2回化を決めた他、17年度補正予算案に技術者・技能者の育成経費を措置するなど、提言を反映した施策を打ち出している。一方で、建設業の許可要件や現場での技術者専任要件の見直し、適切な工期設定など、建設業法改正を伴う施策は具体化しておらず、同省では今後、法制度の見直しに本腰を入れる構えだ。
建設産業政策会議がまとめた『建設産業政策2017+10』は、10年後も建設業が現場力を維持できるよう、働き方改革、生産性向上、良質な建設サービスの提供、地域力の強化を後押しする施策を提言している。
17年7月の提言以降、経営事項審査と標準請負契約約款を改正するとともに、「建設工事における適切な工期設定等のためのガイドライン」を策定した上で、技術者制度関連の施策を本格化。技術検定に1級・2級電気通信工事を創設した他、建築・土木で先行的に実施していた2級技術検定(学科試験)の年2回化を全6種目に拡大することも決めた。
さらに、年末に閣議決定した17年度補正予算案にも関連経費を計上。ICT技術を活用して遠隔地でも技術者・技能者が受講できる特別講習の開催経費、多能工の育成に対する支援経費などを盛り込んだ。
一方、提言に盛り込まれた建設業法改正を前提とする施策は具体化まで至っていない。法制度関連の施策を見ると、建設業の働き方改革では、受発注者に不当に短い工期での契約を禁止し、適切な工期の設定を責務とする法の整備や、不適切な契約を結んだ注文者に対する勧告制度の創設などがある。
また、建設業許可の要件に労働者福祉(社会保険加入など)の観点を追加することも提言されている。技術者制度では、技術者専任要件の見直し、主任技術者の確認制度の創設などもある。
提供:建通新聞社