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2018/01/05

石井国交相「生産性革命 深化の年に」

 石井啓一国土交通相が建設専門紙の共同インタビューに応じ、2018年を「生産性革命を深化させる年としたい」と力を込め、生産性向上に重点を置いた施策を展開する方針を示した。建設業に対しても「働き手の減少を上回る生産性向上と、将来の担い手を確保するための働き方改革が必要だ」と訴え、昨年7月に提言された『建設産業政策2017+10』を具体化し、業界の改革を支える考えを示した。石井国交相(18年新年)_1
 ―18年度当初予算案で、公共事業費は前年度とほぼ同額が確保されました。
 「18年度当初予算案の国交省分の公共事業費は、ここ数年の流れを堅持し、前年度額を20億円上回る5兆1828億円を確保できた。社会資本整備は未来を切り拓く投資であり、安全・安心の確保、生産性向上といったストック効果を通じてわが国の経済成長にも貢献する。ストック効果を最大限に発揮した社会資本整備を推進するためにも安定的・持続的な公共事業費の確保が何よりも重要だ」
 ―昨年も九州北部豪雨をはじめとする災害が頻発した。防災・減災対策で災害に強い国土づくりを進める必要があります。
 「頻発する大規模災害の教訓を踏まえ、社会全体で災害リスクに対する知識と心構えを共有する『防災意識社会』へと転換する必要がある。とりわけ水災害については、九州北部豪雨を踏まえた『中小河川緊急治水対策プロジェクト』に基づき、17〜20年度で全国700渓流の土砂流木対策、中小河川300`の河道掘削や堤防整備、5800カ所で低コスト水位計を設置する」
 ―国交省が生産性革命を打ち出して今年で3年目を迎えます。
 「人口減少、超高齢化社会の中で、潜在的な成長力を高めるとともに、新たな需要を掘り起こすには、働き手の減少を上回る生産性向上が求められる。生産性革命は昨年12月に閣議決定された『新たな経済政策パッケージ』で柱の一つになるなど、政府全体の重要課題でもある。国交省としては18年を生産性革命を深化させる年と位置付け、小さなインプットで大きなアウトプットを生み出すという考えをあらゆる施策に反映させたい」
 ―生産性革命のトップランナーでもあるi−Constructionも3年目に入ります。
 「建設現場の生産性を2割向上させることを目指し、17年10月までにICT土工は約550件、舗装で10件、浚渫工で20件が現場で稼働している。CIMを活用したi−Bridgeも約30件で試行している。今後は、建築分野でのICT導入、大規模構造物の3次元設計、新技術の導入促進などに取り組みを拡大する。中小建設業に対する支援の充実も図りたい」
 ―生産性革命と並び、働き方改革も政府全体で推進する政策の一つ。建設業の働き方改革をどう進めますか
 「日本は既に人口減少時代を迎え、生産年齢人口もそれに先立って減少している。建設業が産業としての役割を果たすためには、働き手の減少を上回る生産性向上と将来の担い手を確保する働き方改革に取り組まなくてはならない。まずは、昨年8月に策定した『建設工事における適正な工期設定等のためのガイドライン』が公共工事・民間工事に浸透し、より実効性の高いものとなるよう、業態別の連絡会議を通じて検討を深めたい」
 ―『建設産業政策2017+10』は、今年の建設産業政策にどのように反映されるのでしょうか。
 「提言は10年後も建設産業が生産性を高めながら現場力を維持することを念頭にまとめられた。新年も提言に盛り込まれた施策の具体化を着実に進めたい。特に、技能者の就業履歴を業界統一ルールで蓄積する建設キャリアアップシステムは秋から運用を開始する。最終的には全ての技能者約300万人が登録されるようにしたい。建設業従事者に必要な技能をICTを活用して効果的に習得する『建設リカレント教育』も推進する」

提供:建通新聞社