国土交通省は、政府の2018年度当初予算案(一般会計)に前年度比0・2%増の5兆8047億円を盛り込んだ。このうち公共事業関係費は、0・04%増の5兆1828億円と前年度と同じ20億円を増額しており、6年連続の増加となる。地方自治体の公共事業に交付する「防災・安全交付金」と「社会資本整備総合交付金」は合計で2兆0003億円と前年度とほぼ同額を確保。施工時期の平準化に効果のある2カ年国債には1740億円、ゼロ国債には1345億円を設定した。
国土交通省の公共事業関係費は「必要な公共事業予算を安定的・持続的に確保する」との方針の下、13年度から同水準で推移しており、18年度も前年度とほぼ同額を確保した。安定的な予算を確保した上で、防災・減災対策、インフラの老朽化対策、ストック効果を重視した社会資本整備に引き続き取り組む。
防災・減災対策では「水防災意識社会」への再構築に向けた水害対策に3927億円を計上し、洪水氾濫を未然に防ぐ堤防の嵩上げ、水害の被災地域における再度災害防止対策、決壊までの時間を引き延ばす堤防構造を工夫する対策などを推進する。雨竜川ダム(北海道)、矢作ダム(愛知県、岐阜県)、早明浦ダム(高知県)の再生事業、城原川ダムの建設事業に新規着手する。
インフラの老朽化対策では、道路に3683億円、河川に1986億円を計上し、戦略的な維持管理・更新に力を入れる。道路の大規模修繕・更新補助制度は、対象事業の要件を現行の「全体事業費100億円以上」から「修繕10億円以上・更新50億円以上」に見直す。
次期通常国会に道路整備財政特別措置法(財特法)の改正案を提出し、補助国道や市町村道の老朽化対策に対する嵩上げ措置を強化する。
ストック効果を重視したインフラ整備により、社会全体の生産性を高め、経済成長を後押しする。財政投融資1兆5000億円を活用し、大都市圏道環状道路の整備を加速する。高速道路のインターチェンジ整備と合わせたアクセス道路整備に対する個別補助制度を新設し、90億円を措置する。国際コンテナ戦略港湾の機能強化には855億円を盛り込む。
i−Construction関連には前年度の2・78倍となる19億円を計上。工事施工と一体となった実証的な新技術の開発、AI(人工知能)の活用などに取り組みを拡大する。建設業の働き方改革には1億2000万円を配分する。
この他、東日本大震災復興特別会計には、国交省計上分の公共事業関係費として14・3%減の4500億円を盛り込んだ。
提供:建通新聞社