【連載】ツタワルドボク(2) マンホールと土木
マンホールハンター 出水享
路上にある直径60pの丸い鉄『マンホール蓋』。マンホール蓋は足元にあり普段見過ごされがちだが、我々の生活にとっても大切なもの。マンホール下には何があるのか知らない市民が多い。マンホールの下には上水道、下水道など我々の生活にかかすことができない地下インフラがある。マンホール蓋はその地下インフラをメンテナンスするための点検孔の役割を果たしている。それは、マンホールの名前の語源、『人(MAN)が入る孔(HOLE)』からも理解できる。
斜面地に伸びる一直線の道路(階段)がある。道路上をよく見るとマンホール蓋が設置され、斜面地にも地下インフラが整備されているのが分かる。マンホール蓋の下には下水道が整備されている。下水道がないとトイレや家庭から汚水が流せなくなり汚水が溢れ、結果として川や海に流し環境を破壊することになる。下水道があるとその心配がなく安全・安心の暮らしを送ることができる。下水道を整備するのは土木の仕事である。土木は斜面地に暮らす市民の生活を支えている。おそらく市民はそのことに気付いていない。
深夜よく見る工事の風景。マンホール蓋の近くで穴を掘る工事である。上水道に使われている金属製のパイプが腐食しているため新しいパイプに交換する作業をしていた。腐食が進むとパイプに孔が空き、そこから水が漏れて使えなくなる可能性がある。上水道がないと川の水や井戸水、雨水などを使うことになり、衛生面で問題がある。しかし、上水道があると安心な水をいつでも使うことができる。これは、とても幸せなことである。市民が寝ている間に土木技術者はその幸せをつくる仕事していたのだ。『土木工事の音がうるさい』とか『渋滞は土木工事のせいだ』など土木を悪くいう市民を見受けるが、土木工事には意味がある。
土木の存在や役割について、市民に知ってもらいたいし、伝えていきたい。