建設産業担い手確保・育成コンソーシアム(事務局・建設業振興基金)は12月13日、建設業で職業訓練体系の構築を進めている「地域連携ネットワーク事業」の意見交換会を開いた。会合では、教育機関と連携して担い手確保に取り組んでいる建設業団体3団体が事例を発表。振興基金の内田俊一理事長は「学校と建設業の間にある溝を埋め、相互の信頼関係を築く契機になるはずだ」と、こうした事例を産業全体に展開する重要性を訴えた。
14年度に始まった地域連携ネットワーク事業では、建設業団体・教育訓練校、教育機関・地方自治体などが協力して行う担い手確保・育成に向けた取り組みを支援する。17年度までに42団体を支援団体に選んでいる。
意見交換会では、特に教育機関と連携を密にして担い手確保・育成に取り組んでいる横浜建設業協会(横建協)、長野県建設業協会(長野建協)、福岡県建設専門工事業団体連合会(福岡県建団連)の3団体が事例を発表した。
横建協は、神奈川県内の田奈高校普通科で建設業への就職に関心を持つ生徒を対象に「建設業ガイダンス」を実施。会員企業の若手社員と生徒が意見を交わしたり、現場見学会を開いたりした。建設業に対する知識の少ない普通科の生徒であるにもかかわらず、ガイダンスを受けた生徒のうち「1人が空調会社に就職し、もう1人が会員企業に就職した」(森村秀幸事務局長)という。
長野建協は、県教育委員会が厚生労働省の助成を受けて実施した「信州創生のための新たな人材育成モデル事業」に協力。具体的には、長野建協の会員企業の支援を受け、長野工業高校土木科の生徒が同校敷地内の舗装工事を施工した。参加した全生徒が土木関係の企業に就職するなど、学校側からも貴重な体験学習として高い評価を受けている。
また、福岡県建団連は、行政・団体・教育機関などが参加する「建設専門工事業雇用促進・労働改善協議会」を立ち上げ、現場見学会、出前授業、インターンシップなどを連携して行っていると報告した。
提供:建通新聞社