国土交通省は12月12日、「住宅・建築物のエネルギー消費性能の実態等に関する研究会」を開き、省エネ基準の適合義務拡大について関係団体にヒアリングを行った。日本建築士事務所協会連合会(日事連)は、小規模事務所が準備不足であり「義務化は拙速」と問題提起。日本建築士会連合会(士会連合会)は「(設計労力の増大に対する)エンドユーザーへの理解を並行して進める必要がある」との会員意見を示した。
研究会は、4月に全面施行された建築物省エネ法の施行状況を検証するために設置されたもの。11月に開いた前回の会合に続き、同法の施行状況や省エネ基準の適合義務拡大について関係団体にヒアリングした。
省エネ基準の適合義務拡大に対し日事連は、小規模な設計事務所などで省エネ設計、省エネ計算などの準備が不足し「今、義務化されれば事務所の死活問題にもなりかねない」と指摘。省エネ計算についても「できるだけ簡素化してもらわなければ住宅の設計業務に支障をきたす」などと報告した。
士会連合会が行った会員アンケートでも、全ての建築物・住宅に省エネ基準への適合を義務付けた場合「業務報酬の目安が明確になっておらず、業界に混乱を招く危険性がある」との意見が上がったという。
また、全国建設労働組合総連合(全建総連)は「基準適合のため、断熱材・サッシ・ガラスなどの供給不足を懸念する」などと説明した。
提供:建通新聞社