労働時間の把握を約6割の企業が「本人の申告」に頼っており、タイムカードなど客観的な手段を導入しているケースは約3割にとどまった。全国建設業協会(全建、近藤晴貞会長)が、働き方改革の推進に向けた取り組み状況に関して会員企業にアンケート調査を行ったところ、労務管理が遅れている建設業のそんな実態が明らかになった。長時間労働抑制への取り組みに関する質問への回答(複数回答)でも、1位だったのは「経営トップによる声掛け」という具体性に欠ける対策。建設業が「働き方改革」を今後実現していくためには、より実効性のある取り組みが求められそうだ。
8月1日時点での状況を全会員1万9070社を対象にアンケートし、3614社が回答した。
労務管理の基本となる勤務時間(残業時間)の管理方法は、60・9%を「本人の申告」が占めた。客観的な把握手段である「タイムカード」は25・0%、「勤怠・就業管理システム」は7・3%だった。
長時間労働抑止の取り組み(複数回答)は、「経営トップによる声掛け」(45・6%)、「定時退社の呼び掛け」(32・3%)、「休日出勤の禁止・抑制」(31・7%)、「深夜残業の禁止・抑制」(21・7%)、「ノー残業デーの導入」(17・6%)、「統一土曜閉所への参加」(6・7%)などが挙がった。しかし、「特に取り組んでいるものはない」という回答も24・1%を占めた。
懸案となっている週休2日の導入に関する現在の状況では、「おおむね4週6休」が54・8%で最多だった。「おおむね4週8休」も16・7%あった。「おおむね4週5休」と「おおむね4週7休」がいずれも12・3%で次いだ。「おおむね4週4週以下」は4・0%だった。
長時間労働の是正や週休2日制の普及に向けて必要と考えられる取り組み(上位3項目回答)では、「週休2日が確保できる適正な工期の設定」(65・9%)、「提出書類の簡素化・削減」(48・8%)、「設計労務単価の大幅引き上げ」(41・5%)、「適正な利潤が確保される予定価格の設定」(32・1%)、「発注の平準化」(28・3)、「適正な設計図書や施工条件の整備」(24・7%)が上位を占めた。
週休2日の導入で課題となっている賃金の支払い形態では、技術者の80・2%が「月給制」であるのに対し、技能者の「月給制」は36・5%にとどまり、「日給月給制」が44・7%、「職位により月給・日給月給制を併用」が14・5%を占めた。
提供:建通新聞社