国土交通省は、直轄事業で試行しているCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)で、従来は設計成果の可視化などにとどまっていたCIMモデルの活用範囲を広げ、設計・施工の効率化を目指す。2017年度の試行業務・工事の一部では、属性情報の付与を原則化した上で、数量・工事費・工期算出、仮設・施工計画の作成、照査などにCIMモデルを活用。ここでの課題を整理し、18年度以降に基準・要領を改定し、本格導入に備える。
CIMを試行する業務・工事の受注者がつくるCIMモデルは、3次元で設計成果を可視化し、住民との合意形成や受発注者の打ち合わせなどのツールとして活用されるケースが多い。国交省は、今年3月に「CIM導入ガイドライン案(17年度版」」をまとめたことを契機に、CIMモデルを活用した設計・施工プロセスの効率化に乗り出す。
まず、将来的な契約図書や納品への活用を視野にCIMモデルに属性情報を付与することを原則化。部材情報、品質管理基準情報(設計基準強度、コンクリート体積)、基準点情報など、属性情報の一覧表をつくり、受注者にそれらの属性情報の付与を求める。
その上で、数量・工事費・工期算出にCIMモデルを活用する。施工順序や区割りと連動する形で数量を算出し、この数量に基づいて概算事業費や工期を算出する。施工の時間軸を付与した3次元モデルも作成し、施工管理のフローが動画で確認できるようにする。
従来は2次元の図面で行っていた詳細設計の照査にも、3次元のCIMモデルを活用する。構造物・部材の干渉チェック、測量・地質調査結果との整合、数量、構造計算など、CIMモデル活用で効率性が高まる項目を抽出し、照査の自動化を目指す。さらに、ASP(情報共有システム)を通じ、受発注者がCIMモデルをタイムリーに共有できる環境も整える。
提供:建通新聞社