建設産業担い手確保・育成コンソーシアムによる第4回建設関連職業訓練校等連絡会議が10月30日に大阪市内で開かれた=写真。三田建設技能研修センター、富士教育訓練センターをはじめ、全国各地から建設業の職業訓練・教育に携わる団体関係者や行政の担当者ら約60人が参加。職業訓練校間の連携を深めるとともに、各団体の取り組みについて情報を共有した。
連絡会議では、国土交通省、厚生労働省、関西鉄筋工業協同組合、大阪府、中屋敷左官工業、利根沼田テクノアカデミー、富士教育訓練センター、三田建設技能研修センターなど各職業訓練校らによる情報提供が行われた。
国交省土地・建設産業局建設市場整備課の田龍専門工事業・建設関連振興室長は、建設業就業者数の推移を紹介。「建設業は60歳以上が全体の4分の1を占め、10〜20歳代は1割しかいない。1年目の離職率も他産業より高い。若年入職者の確保・育成が喫緊の課題だ」とした。
関西鉄筋工業協同組合の岩田正吾理事長は、職人が業界から離れていった背景を振り返り、「エンドユーザーと建設業界の間にある壁を取っ払う必要がある」とした。その上で、「次世代を担う子どもたちへのインパクトあるイメージ戦略が重要。出前講座だけでなく、テレビや映画も利用しものづくりの楽しさ、重要性を伝え、子どもたちが憧れる建設産業にしなければならない」と述べるとともに、官民一体となった職人学校の創設を提案した。
中屋敷左官工業の中屋敷剛社長(日本左官業組合連合会青年部会長)は、「最近の若者は素直で賢い。現場に出る前の研修が非常に有効だ」との考えを示し、自社で考案した動画などを使って新入社員を育成する「即戦力プログラム」を説明した。
同コンソーシアムは建設業団体、国土交通省、厚生労働省、教育機関などが集まり、2014年に発足。発足から5年を区切りとし、特に担い手が不足する野丁場系の技能者教育に重点的に取り組みながら、諸課題について情報の共有と水平連携を図っている。
事務局を務める建設業振興基金の内田俊一理事長は、「コンソーシアムの5年の区切りに向けては、これまでやってきた取り組みの中から効果のあるものを絞り込み、良いものは継続し、さらに成果を挙げていくことが必要。究極の目的は人が辞めない職業訓練だ」と話した。
提供:建通新聞社