第12回建設トップランナーフォーラム
『地域建設業は想定外の災害にどう備えるか』
第13回・最終回 閉会の言葉 小野貴史フォーラム実行委員長
第12回建設トップランナーフォーラムの閉会に当たり、フォーラム実行委員長を務めた小野組(新潟県)の小野貴史社長があいさつに立った。地域の建設業者として小野氏は、「国土を守っているという自覚を持って仕事に当たっていきたい」と強調した。さらに、「地域において建設業のすべきことはまだまだたくさんある」と会場に呼び掛けた。
このフォーラムを通じて私が気付いたことは「最後は心だ」ということ。それぞれの思いが大事だと実感した。そして、人の大切さも強く感じた。
われわれは地域の建設業者として国土を守っている。「国守」という自覚をもって、そういう心で仕事に当たっていきたい。そして、土木こそが「真の総合工学」だという言葉も胸に刻みたい。
会社の求人活動に当たって私は、大学や合同説明会に自ら出掛けている。私の仕事は求人活動だと思っている。自分の時間の約8割を求人の仕事に充てている。
若者一人一人と真剣に話していると、彼らはお金によって就職先を決めようと思っていないことが分かってくる。休日でもない。自分たちが大学でせっかく学んだことを社会でどう生かせるかを彼らは真剣に考えている。
景気の悪い環境の中で育ち、いま社会に出ようとしている彼らが、意外と真剣に社会のことを考えていることに感銘を覚えることがある。
そんな時私は「建設業はお金のために働くのではない。人々の幸せのために学んできたことを生かすことができる仕事だ。君が大事にしたいと思っている人や、大事にしたいと考えている地域を守ることができるのが建設業だ」と言う。そうすると彼らは「職場に一度行かせてください。どんな仕事か見せて下さい」と目を輝かせる。そして実際に仕事を見に来てくれる。見に来てくれた若者はたいてい求人に応募してくる。
結果として昨年は30人採用した。「200人足らずの会社で大丈夫なのか」と言われる。しかし、想定外の事態に備えるとなると人材をプールしていかなければならない。
「採算はとれるのか」とも聞かれる。入社した若者たちはみんな一生懸命に働く。会社の先輩たちも、若者たちが新たに入ってくると活性化して、どんどん働いてくれる。社員が一生懸命に働けば会社は伸びていける。
建設業者はしばしば「仕事がない」という。しかし、仕事がなくなることは本当にあるのだろうか。役所から発注されなければ仕事がないのだろうか。仕事の語源は「すること」だという。われわれのすることは地域の中にたくさんある。われわれのすることはなくならない。
今日のフォーラムで仕入れたことを地元に持って帰り、これからもいろいろなことをしていこうと心を新たにしている。(地方建設専門紙の会)
提供:地方建設専門紙の会