国土交通省は、地方自治体に長期間未着手の都市計画道路を見直すことを求める。全国で計画延長が6・4万`に上る都市計画道路のうち未着手区間は2・1万`(32・2%)に上り、必要性の高い路線への「選択と集中」を視野に自治体に見直しを促す。また、都市計画道路の施行区域内における建築制限についても、独自基準で緩和している自治体があることを踏まえ、自治体の裁量で制限緩和を図ることを求める。
国交省の調査によると、都市計画道路は全国8割の地方自治体で見直しを図っている。同省でも、都市計画運用指針などで自治体が長期未着手の都市計画の必要性を検証し、廃止・幅員変更を行うよう求めてきている。
国交省は10月20日に開いた都市計画基本問題小委員会の都市施設ワーキンググループで、都市計画道路見直しに地域差がある現状を説明。住民に都市計画の内容が浸透しておらず、地元との合意形成が難航したり、人口規模の小さい市町村では見直しに必要な人員が確保できない現状があることを指摘した。
また、国交省は、公共事業費が横ばいで推移し、限られた財源で効率的に事業を執行するためには、必要性の高い路線・事業に選択と集中を図る必要があると主張。自治体が見直しを効率的に進める方法を共有してもらい、適時・適切な見直しを図ることを求める方向性を示した。
一方、長期未着手の都市計画道路では、施行区域内の過度な権利制限を避けるため、自治体の裁量で建築制限を緩和することができる。実際に全自治体の2割が建築制限を緩和している。緩和対象路線の選定が困難だと感じている自治体があることから、都市計画道路の優先度や沿道用途・建物用途を踏まえ、建築物の階数などを緩和する必要性を強調した。
都市施設WGではこの他、道路の上空を活用し、道路と建物を一体的に整備する「立体道路制度」の適用拡大についても議論。立体道路制度は現在、都市再生緊急整備地域内の全ての道路と、その他の地域の自動車専用道路・高架道路で適用を認めている。国交省は全ての地域で一般道路の上空利用が可能となるよう、制度の適用範囲を拡大する考えを示した。
都市施設WGは、次回の会合を11月にも開き、都市計画道路の見直し、立体道路制度の適用拡大、駐車場の附置義務の緩和などについて提言をまとめる見通しだ。
提供:建通新聞社