全国中小建設業協会(全中建、豊田剛会長)と同協会傘下の地元建設業協会が国土交通省と意見を交わす全中建ブロック別意見交換会が、10月17日、関東地域を皮切りにスタートした。建設業の働き方改革と生産性向上が懸案となる中、業界側は、週休2日制導入に向けた労務単価の増額や、適正利潤を確保するための低入札調査基準価格(最低制限価格)の引き上げなどを要望、活発に意見を交わした。
地元建設業協会からは東京都中小建設業協会(都中建、山口巖会長)、全中建南多摩(若林克典会長)、神奈川県中小建設業協会(神中建、河ア茂会長)、横浜建設業協会(横建協、土志田領司会長)、国交省からは本省と関東地方整備局の幹部が参加した。
意見交換会の冒頭、あいさつに立った豊田会長は、働き方改革と生産性向上の課題に対応していくために協会内に特別委員会を設置したことを説明。「企業として行うべきことを中小建設業の観点から考えていく」と述べ、行政の協力を求めた。
これに対し、国土交通省土地・建設産業局の岩下泰善入札制度企画指導室長が「(建設業にかかわる)危機感をテコに施策に取り組みたい。その際、現場で対応している皆さんの声を反映していく」と応じた。
意見交換では、都中建が建設業の社会保険加入促進に向けて、民間でも使われている四会連合契約約款への、社会保険費用の発注者負担義務の明記を求めた。これについて国交省側は「何らかの位置付けを働き掛けいく」と答えた。
全中建南多摩は、週休2日制の導入に向けて労務単価の増額や書類の簡素化を求めた。労務単価について国交省側は、「現在行っている調査の結果を反映。処遇改善を工夫していきたい」と答えた。
横建協は、適正利潤の確保に向けた▽中小が受注できる工事の規模の拡大▽低入札価格調査基準価格のさらなる引き上げ▽最低制限価格の上限の予定価格の95%以上への設定―を要望した。
調査基準価格(最低制限価格)の上限の引き上げについて国交省側は「現状では(落札率が)90%を超えると品質に差がつかない」と述べ、引き上げの根拠の明確化を課題として指摘した。同時に、適正価格について今後も検討していく意向を示した。
神中建からは、地域建設業の存続には「地域のメンテナンス工事では競争入札を行わないくらいの大胆な発想が必要だ」といった意見も出た。(地方建設専門紙の会)
提供:地方建設専門紙の会