国土交通省は、下水道管の点検結果などをまとめた「下水道管路メンテナンス年報(仮称)」を2017年度から公表する。下水道管路には、15年度に施行された改正下水道法で維持修繕基準が定められ、下水道管理者に5年に1回以上の定期点検が義務付けられた。全国の管路の点検結果を公表することで、下水道管理者の点検計画立案に役立てることに加え、維持管理分野での研究などにも活用してもらう。
敷設後50年以上が経過し、老朽化した下水道管は、15年度時点では全体の3%にとどまっていたが、20年後には28%に増加する見通し。下水道管の老朽化によって引き起こされる道路陥没は、現在も年間3300件程度発生しており、計画的な維持管理によって老朽化を未然に防ぐ必要がある。
改正下水道法では、下水道管のうち、勾配が著しく変化したり、流路の高低差が著しいために硫化水素が発生しやすい箇所を対象に5年に1回以上の点検を義務付けた。
改正法の施行から2年が経過したことを受け、
「下水道管路メンテナンス年報」を公表し、下水道の現状と老朽化対策の必要性について、広く理解を求める。国交省が所管するインフラでは、既に橋梁・トンネルの劣化状況をまとめた「道路メンテナンス年報」がある。
年報に記載するのは、点検が義務付けられた箇所の▽点検計画▽点検実績(点検した管路延長とマンホール数)▽点検結果(異状の有無)▽詳細調査の実施結果(緊急度の判定区分)▽対策状況と対策予定時期―など。判定区分は4区分(重度、中度、軽度、劣化なし)とし、劣化状況を分かりやすく明示する。
提供:建通新聞社