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2017/10/10

第12回建設トップランナーフォーラムJ

第12回建設トップランナーフォーラム
『地域建設業は想定外の災害にどう備えるか』

第11回 パネルディスカッション(上)

 パネルディスカッションでは「地域建設業は想定外の災害にどう備えるか」をテーマに3人のパネラーが登壇して話し合った。経験にない豪雨や地震、噴火、火災などが多発していることを受け、地域建設業・行政にどんな改革が必要かを議論した。パネラーは北海道空知建設業協会会長の砂子邦弘氏、林野庁次長の沖修司氏、土木学会会長の大石久和氏。コーディネーターは建設トップランナー倶楽部代表幹事の米田雅子氏が務めた。

 砂子氏は昨年8月に北海道を連続して襲った台風による空知川の氾濫と災害復旧について報告した。空知地域は島根県とほぼ同じ広さで、24市町村、人口約32万人。農業主体の過疎地域に1週間で3回台風が直撃し、浸水面積130fに及ぶ過去にない被害になったという。その後1週間、協会員が24時間体制で応急復旧に当たる中、「典型的な災害弱小地域の課題が浮き彫りになった」と話した。

 砂子氏によると、北海道空知建設業協会は会員数が十数年前の110社から現在は66社に減少。重機オペレーターは高齢化し、若手の入職を促そうにも地元商工業高校には土木科自体がない。「健全経営により企業が体力を維持しなければならないと同時に、人をどう育てるかが待ったなしの課題だ」と言い、今後の備えには防災意識の共有と非常事態を想定した連携協定が重要と訴えた。

 特に連携協定については「建設業だけでは対応が間に合わない」と指摘。決壊箇所の補修に3dの護岸ブロックを1800個、200`近い道のりを運んだ際、当初はダンプカー調達のイメージさえできなかったと振り返り、「車両や重機のレンタル産業との連携が不可欠」と述べた。

 沖氏は、近年雨の降り方が変わり、極端な降水量を引き金とする災害が増えていると指摘。また山火事や火山噴火、さらには口蹄疫(こうていえき)などの生物災害も想定しなければならないとし、いずれの場合も「建設業の力がなければ現場にも行けない。土木技術の重要性がますますクローズアップされている」と話した。

 中でも、ドローンを使った航空レーザー測量や人工衛星によるリモートセンシングなどの技術は有効と強調。「山地災害などで応急復旧の応援を頼む際、どこに集中的に技術者に入ってもらえばいいかが判断できる」とし、人手不足の中ではいかに効率的に人を投入するかが鍵と説いた。

=続く=(地方建設専門紙の会)

提供:地方建設専門紙の会