国土交通省は、直轄工事の工事請負契約書の改正を受け、法定福利費を明示する請負代金内訳書の様式・記載内容を見直し、地方整備局などに通知した。10月1日以降に入札手続きを開始する工事から適用する。通知によると、受注者が請負代金内訳書に記載する法定福利費は、現場に従事する現場作業員の雇用保険・健康保険・厚生年金保険の事業主負担額。明示する法定福利費は、労務費に各保険の保険料率を乗じたり、過去の工事実績を踏まえて法定福利費を算出する計算方法などを例示している。
7月の中央建設業審議会(中建審)で、公共工事標準請負契約約款が改正されたことを受けた措置で、建設業の社会保険加入を促進するため、受注者が提出する請負代金内訳書に法定福利費を明示することを義務付ける。既に国交省は、約款改正を受けて8月に工事請負契約書を見直し、10月1日以降の直轄工事で請負代金内訳書への法定福利費の明示を決めている。
契約書改正に続き、同省は請負代金内訳書の様式や記載内容を見直し、9月22日付で地方整備局などに通知した。これによると、これまで請負代金額1億円以上・工期6カ月以上などで提出を求めていた請負代金内訳書は、契約書を作成する全ての工事で提出してもらい、内訳書の欄外に現場に従事する労働者の社会保険料の事業主負担額の記載を求める。
法定福利費の計算方法としては、労務費に各保健の保険料率を乗じて算出。労務費を算出できない場合は、過去の工事における平均的な法定福利費の割合を工事費に乗じ、法定福利費を割り出す。各下請け企業から提出された標準見積書を活用し、法定福利費の合計額を記載することも認める。
契約段階で下請け企業が確定しておらず、下請け企業が社会保険の適用除外かどうか分からないケースでは、全ての下請け企業が社会保険に加入している前提で法定福利費を明示する。
一方、受注者が入札段階で発注者に提出する工事費内訳書については、法定福利費の明示は義務付けないが、受注者には入札段階で法定福利費を算出することを推奨する。
国交省は、10月1日以降に入札手続きを開始する直轄工事で、新たな様式・記載内容を使って法定福利費を請負代金内訳書に明示することを求める。9月26日には、他の中央省庁や全国の地方自治体などにも今回の対応を通知。民間発注者である不動産協会、全国住宅産業協会、住宅生産団体連合会にも情報提供した。
提供:建通新聞社