国土交通省は8月25日、中央建設業審議会が公共工事標準請負契約約款を見直したことを受け、直轄工事の工事請負契約書を改正した。請負代金内訳書に健康保険・厚生年金保険・雇用保険の法定福利費の明示を求めるとともに、2次以下の下請けが社会保険未加入だった場合の制裁金の規定を契約書に記載した。10月1日以降に入札手続きを開始する工事で適用する。
中建審は7月25日の総会で公共約款を改正。その後、公共工事の発注者に実施勧告を行っており、国交省はこの勧告に応じ、直轄の契約書を改正した。8月25日付で事務次官名の通知を地方整備局などに送付するとともに、中央省庁や地方自治体にも情報提供した。
今回の契約書改正では、建設業の社会保険加入を促進するため、受注者に請負代金内訳書への法定福利費の明示を義務付けた。現在、直轄工事では、予定価格に計上した法定福利費(概算額)が入札調書に記載されているが、請負代金内訳書に法定福利費は明示されていない。法定福利費を明示する際の様式は改めて通知する。
一方、直轄工事では、今年4月1日から元請けに2次以下の下請けに加入指導を行うことを求め、10月1日からは原則30日の猶予期間中に加入が確認されない場合、制裁金の支払いを求めることが決まっている。契約約款の改正を受け、10月以降にスタートする制裁金の額(最終下請け金額の5%)などを契約書に記載した。
この他、受注者の債務不履行に伴う発注者の損失を補填する履行保証制度で、債務不履行になった受注者の破産管財人が契約を解除しても、発注者が違約金を請求できることを契約書に記載。業務委託契約書(土木設計、建築設計、建築工事監理、発注者支援)も改正し、発注者が違約金を請求できるようにした。
提供:建通新聞社