国土交通省の社会資本整備審議会道路分科会は8月22日、今後の道路政策の方向性を示す建議をまとめ、石田東生分科会長が高橋克法大臣政務官に手交した。建議では、定期点検で緊急または早期に修繕が必要と診断された橋梁が1割に上り、通行止めや通行規制が約2600カ所に及んでいると指摘。道路の老朽化対策をセカンドステージ≠ヨと移行させるため、新技術導入や予防保全型の管理を徹底してコスト縮減を図ると同時に、予算・財源を安定的に確保する方策を検討するよう求めた。
『道路・交通イノベーション〜「みち」の機能向上・利活用の追求による豊かな暮らしの実現へ〜』と題した建議は▽道路・交通とイノベーション▽人とクルマのベストミックス▽道路のさらなるオープン化―を柱に新たな道路政策の方向性を示した。
このうち、道路の老朽化対策の関連では、2014〜16年度に点検した約40万橋のうち、緊急・早期に修繕が必要な橋梁が約4万2000橋(11%)に上ることを問題視。建議では、加速度的に進行する老朽化に対応するため、道路メンテナンスをセカンドステージ≠ノ移行させるよう求めている。
具体的には、予防保全を前提に最小のライフサイクルコストで施設の管理水準を保てるよう、点検・診断結果の蓄積と共有を進め、各道路管理者が計画的にメンテナンスを進めるよう要請。ICT(情報通信技術)、モニタリング、非破壊検査などの新技術の導入とともに、AI(人工知能)やビッグデータを活用した「戦略的予防保全型管理」に取り組むことも求めた。
道路の劣化の主な原因である過積載車両は、動的荷重計測装置(WIM)による自動取り締まりなどで、20年度に半減、最終的な撲滅を目指すべきと指摘。インフラ側での重量計測だけでなく、車両側の車載型荷重計測システムの活用を検討することも求めた。集約化・撤去により、地方自治体が管理する道路施設の削減も要請した。
維持管理・更新費の縮減を図ると同時に、各道路管理者が適切に道路を管理できる安定的な財源を確保することも提言。有料道路で償還満了後も料金を徴収することや、一般道で大型車対距離課金の導入を検討することも求めた。
国交省は、今回の建議を18年度当初予算の概算要求に反映させる他、17年度末に期限を迎える道路財特法の改正時に、必要な法制度上の措置を講じる。
提供:建通新聞社