中央建設業審議会(中建審)は、公共工事の発注者、建設業団体、民間建築関係団体などに建設工事標準請負契約約款の改正を実施するよう勧告した。7年ぶりとなる今回の改正では、公共工事の元請け・下請けを社会保険加入企業に限定する規定を新設し、各発注者が対象とする下請けの範囲や、ペナルティー適用の範囲を選択できるよう措置。公共・民間工事の双方で、受注者が発注者に提出する請負代金内訳書に法定福利費を内訳として明示することを標準化した。
「公共工事標準請負契約約款」「民間建設工事標準請負契約約款(甲)」「同(乙)」「建設工事標準下請契約約款」は、中建審が作成し、各発注者に使用を勧告することが建設業法に定められている。今回は、7月25日の中建審総会で決定した改正について、関係機関に実施を勧告した。
公共約款の改正では、公共工事で社会保険加入対策を強化するため、元請けに対し、下請け(2次以下含む)を加入企業に限定する規定を新設。対象を1次下請けのみとするか、2次以下も含めるか、ペナルティーを与えるかどうかは、対策の段階に応じて各発注者が選択できるようにする。国土交通省の直轄工事では、2次以下も加入企業に限定し、元請けにペナルティーを課す条文を選択し、契約書を改正する。10月1日から適用する。
公共約款ではまた、受注者の債務不履行に伴う発注者の損失を補填(ほてん)(ほてん)する履行保証制度で、債務不履行になった受注者の破産管財人が契約を解除しても、発注者が違約金を請求できるようにする。
一方、公共、民間(甲・乙)、下請け約款の改正では、受注者が作成し、発注者に提出する請負代金内訳書に健康保険・厚生年金保険・雇用保険に関する法定福利費を内訳明示するよう求める。民間工事において、法定福利費を内訳明示する際の契約上の標準的なルールとする。
公共約款は、公共工事の発注者である、国・自治体・独立行政法人などの他、電力・ガス会社やJR各社に勧告。民間約款(甲・乙)は、民間建築関係の不動産協会、全国住宅産業協会、住宅生産団体連合会の3団体に実施を勧告した。建設業者の監督権者である国土交通大臣と都道府県知事、建設業106団体には、改正した四つの約款全てを実施するよう勧告した。
提供:建通新聞社