国土交通省の毛利信二事務次官は建設専門紙との共同インタビューに応じ「ストック効果の高い社会資本を計画的に整備するためにも、経済規模に見合った安定的、持続的な公共投資が必要だ」との考えを語った。建設業の働き方改革については「時間外労働の上限規制が適用されるまでの5年の猶予を座して待つのではなく、公共・民間工事の発注者に働き掛け、改革を実現させる」と述べ、この問題に対する強い改善意欲を示した。
2018年度予算の概算要求については「社会全体の生産性を高め、経済成長をけん引するプロジェクトに重点投資する」と述べた上で「ストック効果は出る≠烽フなく、(意識的に)出す≠烽フだ」と指摘。ピンポイント渋滞対策、ダム再生、民間活力の活用などを推進する考えを示した。
また、ストック効果の高い公共投資によって「経済成長を実現し、経済再生と財政健全化の実現に国交省としても全面的に取り組む」考えを強調した。
建設業が果たす『地域の守り手』としての役割についても言及。「担い手の確保が非常に重要。そのためにも関係者の理解を得て、働き方改革を実現しなくてはならない」として、官民が協力して週休2日の実現に取り組む必要性を強調し、「担い手の確保と建設現場の生産性を向上させるi−Constructionの2本立てで政策を進めたい」と話した。
建設キャリアアップシステムについては「技能者の技能と経験を見える化し、建設業で働く意欲があり、技能の高い人材がシステムを通じて高い評価を受けるようになれば」と述べ、建設生産システムを現場から支える技能者の処遇改善にもつながる仕組みづくりへの大きな期待を示し、「熟練の技能者が中堅、高齢になっても給与が上がる好循環を生み出すインフラになってほしい」と続けた。
建設産業政策会議がまとめた『建設産業政策2017+10』に対しては「担い手3法の成立以降、担い手確保の流れが定着しつつある。その流れを加速することになるはずだ」と発言。一方、この提言を受けた建設業法改正については「機が熟せばそうなる。改正を求める建設業界の声こそ大事。マーケット重視で考えたい」と述べた。
提供:建通新聞社