国土交通省は7月31日、建設現場のICT活用について話し合う「ICT導入協議会」で、小規模土工を対象にICT土工の積算基準を改定する方針を示した。ICT建機の使用割合や日当たり施工量などの実態を調査し、基準改定で実勢価格との乖離を埋める。また、土工全体の生産性を高めるため、ICT土工の対象としていない人力土工の施工実態を調査し、機械化による生産性向上と、適正な積算方法を検討する。
国交省は、ICT土工を中小建設業に普及する上で、「官積算」「初期投資」「ICTスキル不足」「発注者の理解不足」などの課題があるとみている。
16年度に直轄のICT土工を受注した施工者に行ったアンケート調査では、施工規模の大小に関わらず、施工時間は従来施工と比べ30%前後の削減効果が確認された。しかし、小規模な現場で官積算と現場費用に乖離があるとの指摘があった。
そこで、土工量に対するICT建機の使用割合や日当たり施工量などの実態を調査、通常施工と調査結果を比較した上で積算基準を見直す。ICT建機を使用する割合が小さい工事ほど、積算価格に乖離があるとの声があるため、積算段階でICT建機の使用割合を設定することを検討する。
3次元データ作成ソフトなどの初期投資については、企業の投資そのものを官積算に含めることが難しいため、中小企業等経営強化法に基づく税額控除、ICT建機の購入費を対象とする「省エネルギー型建設機械導入補助事業」などの公的支援活用を促す。
国交省が地方自治体のICT活用工事の現場を支援する「i−Construciton普及加速事業」で、自治体の監督職員や中小建設業の理解不足の解消も狙う。17年度は、現在までに▽秋田県▽茨城県▽新潟市▽静岡県▽岐阜県▽兵庫県▽鳥取県▽徳島県▽沖縄県―の9団体がモデル工事を実施することを決めており、現場支援型でICT土工のノウハウを伝える。
一方、高齢化によって将来の担い手不足が懸念される人力土工の生産性向上も検討する。人力土工の施工実態(工程、人力施工割合)を把握し、機械化による生産性の改善を検討する。施工実態に関するアンケート調査を行い、9月をめどに改善策を提案する。
提供:建通新聞社