建設産業専門団体連合会(建専連、才賀清二郎会長)は27日、国土交通省本省との2017年度意見交換会を都内で開き、社会保険加入促進策などについて意見を交わした。社会保険の加入促進策について国交省側は、「建設市場の6割は民間。法定福利費が公共工事だけでなく民間工事でも行き渡ることが重要だ」との認識を強調。7月25日に開いた中央建設業審議会総会で了承を得た建設工事標準請負契約約款の改正について説明した上で、公共工事だけでなく民間工事でも法定福利費の支払い状況を追跡調査する考えを示した。
冒頭、あいさつに立った才賀会長は、国交省が設置した建設産業政策会議が「建設産業政策2017+10」を策定し、10年後を見据え、建設産業に関する多岐にわたる制度インフラの再構築を目指すとして、今後講じていくべき施策の内容とその方向性を示したことを高く評価。これまでの検討の成果が建設業法の改正、ひいては専門工事業の地位の向上につながることに大きな期待を示した。
国交省の田村計土地・建設産業局長は「働き方改革、生産性向上の実現を目指していくためには、公共工事の分野だけでなく民・民契約にもどれだけコミットできるか、ということになる」との認識を示し、これからの建設産業を担っていく若者にとって魅力ある仕事・職場とするためにも適正な工期の設定や、週休2日の実現に向けた環境整備を進め、「働く人を大切にする業界であることの『見える化』にも積極的に取り組んでいくことを強調した。
この日の意見交換会では、初めに国土交通省の常山修治・建設システム管理企画室長が「働き方改革に向けた国土交通省の直轄工事における取り組み」について、平田研・建設業課長が「建設産業政策2017+10」について、それぞれの要点を説明。中林大典・専門工事業建設関連業振興室長が「建設工事従事者の安全及び健康の確保に関する基本的な計画」の目的や概要を解説した。
建専連からは、最初に全国コンクリート圧送事業団体連合会(全圧連)の長谷川員典会長が「社会保険等加入促進に向けて」と題して要望。次いで、全国鉄筋工事業協会(全鉄筋)の内山聖会長が「建設業の処遇改善に向けた工事の発注」について、日本左官業組合連合会(日左連)の石川悦夫副会長が「専門工事業の評価制度と建設業の魅力発信」について要望した。
日本型枠工事業協会の三野輪賢二会長は、特に地方公共団体と地方の総合建設会社に向けた「社会保険等加入促進施策」について質問。「日給月給制と日給制が6割を占める建設業では、現行の社会保険の仕組みはなじまない」などと指摘。事業主の経営状態によっては保険料の納付を猶予する仕組みの導入などを検討するよう要請。
全国基礎工事業団体連合会(全基連)の梅田巌会長は「専門工事業評価制度」の構築に当たっての検討状況を質問。その上で「施工実績も評価の対象に加えてほしい」と注文した。
提供:建通新聞社