国土交通省は7月27日、「高規格堤防の効率的な整備に関する検討会」を開き、高規格堤防の整備手法改善に向けた提言案を提示した。河川管理者が高規格堤防の予定区域を明示し、区域内の市街地整備を担う共同事業者を公募する仕組みを検討するよう求めた他、共同事業者に河川区域内の公有地活用を認めたり、税制・融資などの支援制度を手厚くするよう求めた。
高規格堤防は、通常の堤防よりも幅の広い堤防を整備することで、洪水時の越流・浸透による堤防決壊を防ぐ事業。市街地整備と一体で進めるため、住民合意などで整備期間が長びくことが課題となっており、検討会では、現在の整備区間である荒川、江戸川、多摩川、淀川、大和川の合計約120`を対象に整備手法の効率化を提言する。
提言案の柱の一つは、市街地整備の役割を担う共同事業者に対する支援措置の拡充。河川管理者が高規格堤防を整備する予定区域を一般に明示した上で、事業への参加機会の均等を図るため、共同事業者を公募する仕組みを構築するよう求めた。
共同事業者が事業参画のインセンティブを受けられるよう、堤防整備で利用可能となる川裏法面の敷地を公園、道路、建築物に活用できるようにする。事業者の負担を軽減する税制・融資などの支援措置の他、河川管理者が先行して土地を取得する手法なども提案した。
共同事業者の裁量を拡大し、高規格堤防の盛土や地盤改良と建築物の基礎を一体的に施工できるようにし、合わせて工期短縮も図る。共同事業者と河川管理者が調整し、土地利用の予定、工事・補償費、工期を踏まえて地盤改良工法を選定できる仕組みも整える。
この他、事業区域内の住民の仮移転に伴う負担を軽減するため、河川管理者などが仮移転用の土地を取得し、移転費用の縮減を図ることも求めた。
提供:建通新聞社