環境産業の市場規模は過去最大の104・3兆円―。環境省の「環境産業市場規模検討会」(座長、早見均慶応義塾大学教授)は、2015年の環境産業の動向を分析・検討し、このほど雇用規模を前年比2・7%増の約249万人などとする推計結果を報告書にまとめた。15年の分析では、新たに「エコシップ」「バイオ燃料」「環境保全型農業資材」とともに、「インフラメンテナンス」を推計の対象産業に追加した。
環境産業の市場規模は前年比1・5%増の104兆2559億円で、過去最大となった。58兆円と推計された2000年と比べ約1・8倍になった。特に地球温暖化対策分野が大きく増加。12年以降は、固定価格買い取り制度などによって太陽光発電システムなどの導入量が増加したことで、「クリーンエネルギー利用」の分野が大きく増加している。
環境産業の市場規模の割合は、2000年の6・2%から15年には11・3%まで増加。また、国内総生産(GDP)に占める環境産業の割合は、2000年の5・4%から13年には8・3%にまで増加しており、環境産業がわが国の経済に与える影響は確実に大きくなっている。
一方、環境産業の雇用規模は、前年比2・7%増の約249万人。2000年(約179万人)の約1・4倍となった。特にクリーンエネルギー分野の市場規模は13年以降拡大し続けており、12〜15年の3年間で雇用規模が約15万人増加している。
インフラについて検討会は「想定耐用年数以上に使用することを可能にする技術は、新たな建設による環境負荷を軽減することができる」として、今回の推計から長寿命化に資するインフラメンテナンスを環境産業として新たに計上。
国土交通省が「平成21年度国土交通白書」の中で「予防保全を実施した場合、11〜60年の社会資本の維持管理費は7・3%増加する」としていることを受けて、「建設工事受注動態統計調査報告」から毎年の社会資本の維持補修費を把握。その上で、7・3%を乗じた費用を「インフラメンテナンス」の市場規模と見なすこととし、15年度は408億円だったとした。
他方、環境産業の輸出額は04年以降に大きく増加している。09年はリーマン・ショック後の世界的な景気減速の影響を受けて落ち込んだものの、10年以降は再び増加に転じており、15年は全体で約15・7兆円と推計。
輸入額は景気減速の影響を受けた09年に落ち込んだものの、以後は増加傾向にあり、15年は約3・5兆円規模だったと推計している。
提供:建通新聞社