国土交通省の社会資本整備審議会道路分科会基本政策部会は7月13日、新たな道路政策に関する建議案をまとめた。建議案では、加速度的に増加する老朽インフラに対応するため、道路メンテナンスをセカンドステージ≠ノ移行させることなどを提言。国交省は2018年度の概算要求に建議の内容を反映させる他、17年度末に期限を迎える「道路整備事業に係る国の財政上特別措置に関する法律」(道路財特法)の延長(改正)時に、必要な法制度上の対応を図る。
建議案は13日の基本政策部会で大筋で了承。8月中旬に道路分科会の建議として最終決定する。
建議案では、人口減少、激甚化する自然災害、老朽化など、道路を取り巻く環境が劇的に変化する一方、急速に進展する技術革新、人とクルマの関係の再考などにも対応する必要があると強調。その上で、道路政策を改善するための具体策を提案した。
道路のメンテナンスでは、加速度的に増加する老朽インフラに限られた財源で対応するため、14年度に始まったメンテナンスサイクル構築の取り組みをセカンドステージに進めるべきと提言。ICTモニタリングや非破壊検査など、新技術の現場導入を推進するとともに、ビッグデータやAI(人工知能)を駆使した予防保全型管理に向け、技術開発を推進する必要性を指摘した。
新技術の導入で維持管理・更新費を削減させるとともに、道路管理者が安定的に予算を確保する方策の検討も要請した。
災害時の道路の安全性・信頼性の向上を図ることも求めた。緊急輸送道路を指定する際の要件を見直し、国が積極的に関与して集約化・重点化を図る他、占用制限の活用で、災害時の道路閉塞(へいそく)を引き起こす電柱の新設抑制や既存電柱の撤去を推進する。また、熊本地震における緊急輸送道路の被災状況を踏まえ、基幹ネットワークを計画路線も含めて指定し、指定路線に重点投資することも求めた。
道路・都市空間の機能強化を一体的に実施できるよう、立体道路制度を拡充し、道路空間の民間活用の自由度を高める。品川駅再開発を先進事例として、道・駅・街が一体となった高い都市基盤を整備し、民間開発投資の誘発を図るべきとした。
提供:建通新聞社