国土交通省は6月29日、社会資本整備審議会の都市計画基本問題小委員会を開き「都市のスポンジ化対策」の論点整理を示した。空き地・空き家が都市中心部に発生する都市のスポンジ化に対応するため、隣地統合による土地の有効活用、官民の契約的手法による都市空間の管理などの対策を提示。今後も人口減少が加速する中、土地利用の縮小に向けた公共投資を検討する必要性も示した。
論点整理では、人口減少による社会構造の変化で、都市中心部においても空き地・空き家などの低未利用地が生まれる都市のスポンジ化をもたらし、このことが都市全体で人口・土地利用の密度が低下する「都市の低密度化」にもつながっていると指摘。
こうした現象は、コンパクトシティ化を進める際の阻害要因になるとして、都市計画制度上の対策を示した。都市中心部に既に発生した空き地・空き家のうち、市場価値のあるものは、近隣住民との隣地統合などで、土地を有効活用する者に引き渡し、土地を集積する。その際、所有権と利用権は分離して取り扱うことも検討する。
一方、スポンジ化の予防策としては、行政と民間、民間主体の契約的手法の導入を検討。行政が当事者として住民・事業者と協定を締結し、土地利用や公共貢献施設の整備・管理に関するエリアマネジメントを取り入れるよう求めた。
論点整理ではまた、スポンジ化対策の先に「穏やかに都市をたたむことも射程にいれるべき」と問題提起。都市拡大で上昇するインフラ整備・維持管理の費用を開発事業者に負担させる制度設計、土地利用の縮小に向けて減築・緑化を促す公共投資について、引き続き検討することを求めた。
提供:建通新聞社