所有者不明の土地は九州の土地面積を超えている―。学識者や地方自治体などでつくる「所有者不明土地問題研究会」(座長・増田寛也元総務相)は6月26日に発表した中間整理で、不動産登記などで所有者が判明しない土地面積が約410万f(九州の土地面積368万f)に上ると試算。増田座長=写真=は「団塊世代の相続が始まる今後10年で、何らかの手立てを講じる必要がある」と対応を急ぐ必要性を訴えた。
研究会には、学識者や自治体、不動産鑑定士・司法書士・税理士などの関係団体で構成。国土交通省や法務省などの関係省庁もオブザーバーとして出席している。
研究会の試算によると、全国2億3000万筆に占める所有者不明土地の割合は20・3%で、地目別では宅地が14%、農地が18・5%、林地が25・7%となっている。
所有者不明土地は、不動産登記簿などで所有者が直ちに判明しなかったり、判明しても連絡がつかない土地。所有者不明土地が公共事業の用地取得を阻害し、事業が中止・中断に追い込まれるケースも出ている。
研究会では、所有者不明土地が増える背景に、人口減少で土地需要や土地の資産価値が低下していることや、人口移動による不在地主の増加があるとみている。このため、マイナンバーや地籍調査を活用して所有者の探索を円滑にしたり、不動産登記の義務化や、地理空間情報を活用した所有者不明土地の増加防止を図るよう求めている。
政府は、次期通常国会に所有者不明土地に対応する関連法案を提出する方針を決めている。研究会では今後、相続未登記が発生する将来推計、経済的損失などの試算を行った上で、必要な施策を政府に提言するとしている。
提供:建通新聞社