国土交通省は、2017年度に直轄の橋梁点検で非破壊検査を試行する。5年に一度の定期点検から2〜3年後に行う「第三者被害予防措置」として点検するコンクリート橋約270橋を対象に、まず非破壊検査で損傷箇所を抽出した上で、異常が疑われる箇所を打音検査で最終的にチェックする。同省は、非破壊検査の導入で検査費用を約2割削減できると試算しており、試行結果を踏まえて非破壊検査の導入範囲を広げることも検討する。
橋梁点検における非破壊検査については、次世代インフラ用ロボット現場検証委員会の橋梁維持管理部会で現場実証を行い、今年1月に評価結果を公表。西日本高速道路エンジニアリング四国(高松市)の「赤外線調査トータルサポートシステム Jシステム」が精度・効率性の要求性能を満たすことが確認された。
17年度の試行では、この技術を採用して非破壊検査を現場に導入する。非破壊検査は、近接目視を原則とする定期点検には採用していないため、コンクリート部材の落下を防ぐ「第三者被害予防措置」を実施する全国のコンクリート橋約270橋で試行する。非破壊検査でコンクリートのうき・剥離のある箇所を推定し、打音検査が必要な箇所を事前に抽出する。
非破壊検査は、遠望非接触であるために足場や交通規制がいらず、点検のコスト縮減に効果がある。国交省の試算によると、橋梁の平均面積(218平方b)当たりの検査費用は、従来型の打音検査だと約11万円だが、非破壊検査と打音検査をセットで行うことで約8万円に抑えることができるという。
ただ、直轄のコンクリート橋の点検で、損傷の検出精度や損傷的中率の要求性能を満たす技術は、現在のところ西日本高速道路エンジニアリング四国のJシステムのみ。同省は、6月21日から新技術情報提供システム(NETIS)を活用して他の非破壊検査技術を公募。今秋から直轄の現場を提供し、要求性能を検証する考えだ。
提供:建通新聞社