国土交通省は6月21日、今後の地籍整備の在り方について有識者らに意見を聞く「中長期的な地籍整備の推進に関する検討会」の初会合を開いた。地籍調査の全国ベースの進捗(しんちょく)率は52%。都市部24%、山村部45%と調査の遅れが目立つ一方で、「第6次地籍調査事業十箇年計画」(2010〜19年度)の計画終期が迫っている。検討会は、現行施策の課題や衛星測位技術の進展などを踏まえ、効率的・効果的な対応策を検討する。
2010年5月に閣議決定された第6次計画では、地籍調査の進捗率を10年度時点の49%から57%に引き上げる目標を設定している。6次計画からは調査の遅れている都市部・山村部についても、それぞれ48%、50%とする目標を掲げている。
ただ、16年度末時点の都市部の進捗率は28%、山村部は45%。地価の高い都市部では、所有者の権利意識が強く、権利関係も複雑で、境界確認が難しいケースが多い。一方の山村部は、土地所有者の高齢化や不在村化が急速に進み、境界を隣接する所有者が不明といった課題がある。
初会合の冒頭、谷脇暁土地・建設産業局長は「地籍整備は特に都市部と山村部で進捗が遅れている」と指摘し、「東日本大震災で地籍整備の必要性が見直されたが、地方自治体からの予算要望に応えられない現状もある」と発言。検討会でも、都市部・山村部における地籍整備の推進方策を検討したいとの考えを示した。
新技術の活用も検討テーマの一つとする。現在も測量工程を効率化する「電子基準点のみによるGNSS測量」や「ネットワーク型RTK法による端点観測法」が活用されているが、国交省は多くの手間と経費が必要な一筆地調査にも新技術を導入し、効率化・簡便化を図りたい考えだ。
検討会は18年1月にも提言をまとめる。
提供:建通新聞社