国土交通省は、6月19日に首相官邸で開かれた関係省庁による連絡会議で、建設工事の下請け取引改善に向け、法定福利費・安全衛生経費の支払い、適正な工期設定などを発注者に働き掛ける考えを示した。標準約款を見直して請負代金内訳書に法定福利費を明示することを義務付ける他、民間工事の受発注者が適切な工期を設定するためのガイドラインも作成する。
各産業を所管する省庁の副大臣・政務官でつくる「下請等中小企業の取引条件改善に関する関係府省等連絡会議」でこうした方向性を示した。
国交省は、下請け取引の改善に向け、自主行動計画などの業界内部の取り組みに加え、発注者のさらなる理解と協力が必要だと強調。今後の課題として▽発注の平準化▽適正な工期(週休2日)▽現金払い・支払期日の短縮▽法定福利費の支払い▽安全衛生経費の支払い―を挙げ、民間発注者を中心に改善を働き掛ける方針を提示した。
具体的には、受注者が発注者に提出する請負代金内訳書に法定福利費の明示を義務付け、法定福利費の支払いを契約事項に位置付ける。民間工事の受発注者が適切な工期を設定するためのガイドラインも作成する。建設業法に不当に短い工期での契約を禁止したり、適切な工期で見積もりを行う責務を設けることも検討している。
一方、地方自治体による▽ダンピング対策▽施工時期の平準化▽社会保険への加入促進―など、下請け取引改善につながる先進的な取り組みを集めた事例集も、今夏に策定する。
提供:建通新聞社