国土交通省の直轄事業で、2017年3月に履行期限を迎えた調査・設計業務が全体の53・8%となり、前年度と比べ5・5ポイント改善したことが分かった。繰越制度の活用が進み、当初は3月に設定していた履行期限を4月以降に変更した業務が増加した。同省は、調査・設計業務における履行期限を平準化するため、3月を履行期限とする業務を全業務の50%以下にすることを目指しており、17年度も業務発注サイクルの見直し、適正な履行期間の設定などに取り組む。
調査・設計業務の履行期限が3月に集中することが、年度末における建設コンサルタントらの長時間労働を招いている。十分に成果品の照査を行えず、品質を低下させる恐れもある。このため国交省は、調査・設計業務の履行期限を平準化するため、履行期限を4〜12月とする業務を全体の25%以上、1〜2月を25%以上、3月を50%以下とする目標を設定している。
16年度は、4〜12月が9%(前年度比0・7ポイント増)、1〜2月が25・3%(3・9ポイント増)、3月が53・8%(5・5ポイント減)といずれも改善。
特にここ数年は、繰り越しで4月以降に履行期限を変更する業務が増えている。16年度に繰越制度を活用した業務は全体の11・8%(0・9ポイント増)。13年度の2・6%と比べると9・2ポイント増加したことになる。16年度は、契約当初から繰り越しを予定していた業務は314件(5%)だったが、実際に繰越制度を活用し、履行期限を変更した業務は740件(11・8%)に増えた。
国交省では、さらに履行期限を平準化できるよう、業務発注サイクルの見直しも検討している。12月ごろに発注手続きを開始するゼロ国債の活用工事に合わせ、上半期中に設計成果を納品できるよう、国債で履行期間が2カ年にまたがる調査・設計業務を増やす。
また、契約当初に設定する履行期間の適正化も図る。詳細設計では、設計条件の確定までに時間を要し、実際の設計期間が短くなる傾向がある。設計条件の確定までの標準的な期間を明示し、適正に履行期間を設定できるようにする。
提供:建通新聞社