国土交通省は6月13日に「建設産業政策会議」を開き、今後の建設産業政策の方向性を示す提言の素案を報告した。素案では、生産年齢人口の減少により、建設産業が『雇用の受け皿』として担い手を確保できた時代は終焉(しゅうえん)を迎えたとして、個々の企業の努力に加え、業界全体、発注者・設計者・地域と連携を深める必要があると問題提起。その上で、働き方改革と生産性向上を柱に、建設業法をはじめとする「制度インフラ」を再構築する方向性を示している。
素案では、生産年齢人口の減少という課題を克服し、建設産業が現場力を維持するためには、発注者や地域など、業界外の協力も得て働き方改革と生産性向上に取り組む必要があると指摘。働き方改革や生産性向上を各企業が継続的に進め、1人当たりの生産性・給与を引き上げることが欠かせないと訴えている。
働き方改革に向けた制度改正では、受発注者双方に不当に短い工期による契約を禁止したり、適切な工期で見積もりを行う責務を設ける。不適切な契約を結んだ注文者に勧告できる制度も構築する。建設業法にこれらの規定を位置付けるとともに、民間工事の受発注者が適切な工期を設定するためのガイドラインも策定する。
さらに、現場の休日を確保するため、あらかじめ受発注者が合意した現場の休日を契約書面に記載できるようにしたり、現場の土曜一斉閉所の拡大にも取り組む。
生産性向上については、建設生産の各プロセスで手戻り・手持ちをなくすため、適切な設計図書の提示・変更、施工条件の明示を受発注者双方の責務に位置付ける。建設企業間で人材を効率的に活用できる仕組みをつくり、労働の平準化も図る。建設業許可申請、経営事項審査申請も電子化する。
一方、地域の守り手である地域建設業の持続性を確保するため、市町村との連携を強化する。市町村主体で建設産業を振興する制度をつくる。
昨年10月にスタートした建設産業政策会議は、6月中に開く次回の会合で最終回を迎える。同省は、政策会議の提言を踏まえ、建設業法をはじめとする関連制度の詳細設計に入る。
提供:建通新聞社