国土交通省と総務省は6月8日、交通誘導員の円滑な確保と効率的な活用を求める通知を都道府県・政令市と建設業団体に送った。一部地域で公共工事に配置する交通誘導員が不足傾向にあることから、都道府県単位で警察関係者も参加した協議会を設置し、交通誘導員の需給や配置に関する情報を共有するよう要請。加えて、発注者が共通仕様書などで過度に交通誘導員の配置を求めないよう、警備業法などの解釈を改めて周知した。
国交省の調査によると、交通誘導員は、熊本地震の復旧・復興工事の影響で九州で不足傾向が強い他、北海道・東北、中部でも不足傾向にあるという。施工が集中する年末・年度末に不足するなど、繁閑の差もある。
国交省・総務省の通知では、地域で異なる交通誘導員の需給状況を把握するため、都道府県単位で協議会を発足させるよう要請。協議会には、建設業協会と都道府県土木部局に加え、都道府県の警察本部や警備業協会も参加するよう、所管する警察庁から同日付で通知している。
交通誘導員の配置計画は、工事の受注者が地域の警察署と協議する段階で見直しを求められるケースもある。協議会で交通誘導員を配置する際の留意点を警察関係者とも共有し、こうしたケースを未然に防ぐ。
通知ではまた、交通誘導員を配置する際の警備業法の解釈も記載。警備業法では、指定道路(高速道路など)の交通誘導に1・2級検定合格者を配置することを求めているが、指定外路線でも検定合格者の配置を求める発注者が一部にいる。
通知では、指定外路線に検定合格者を配置する必要がないことを明確にする一方、指定・指定外を問わず、元請け企業の社員がいわゆる「自家警備」を行うことが可能とも明記した。また、指揮命令系統が独立していれば、同じ現場で複数の警備会社が交通誘導を行うことも差し支えないとも記載している。
この他、各都道府県・政令市に対しては、標準積算と市場価格が乖離(かいり)している場合には、交通誘導員の労務費に見積もりを活用することを推奨。交通誘導員の効率的な活用を図るためにも、適切な工期設定や施工時期の平準化を図ることも合わせて要請した。
提供:建通新聞社