国土交通省が行った地方自治体に対する調査で、民間資金を活用してリニューアルを検討している都市公園が全国で100カ所程度に上る見通しであることが分かった。都市公園内に収益設置の設置を認める代わりに、老朽化した都市公園を民間資金で再整備する制度は、4月に成立した改正都市公園法に盛り込まれた。6月中旬の改正法施行をにらみ、名古屋市、福岡市、北九州市、神奈川県平塚市が計画の具体化を検討しているという。
都市公園法や都市緑地法など関連6法の一括改正法は今年4月に成立。改正法の柱の一つが、都市公園内への収益施設(カフェ、レストランなど)の設置を民間事業者に認める制度だ。
全国10万カ所・12万fに上る都市公園は、高度成長期に集中的に整備されたため、完成後30年以上が経過した公園は全体の41%(13年度末時点)に上っている。一方で、都市公園の整備・維持管理費はピーク時の3分の2まで減少している。
改正法により、公募で選定した民間事業者が公園内に収益施設を設置し、20年にわたって施設を運営できる制度を構築する。収益施設を設置した事業者には、老朽化した公園の再整備も担ってもらう。収益施設に対する建ぺい率の緩和、再整備に対する資金貸し付けや交付金などの仕組みも整える。
国交省が法改正に合わせて行った自治体の意向調査では、この制度を活用した公園再生が全国で100件程度になる見通しであることが分かった。このうち、21年度までの5年間では40件程度、17年度には5件程度の実施が見込まれるという。国交省は、公園を管理する自治体と、収益施設の設置に関心のある民間事業者をマッチングする「官民プラットフォーム」の構築も検討している。
この他、改正法では、民間主体で市民緑地の整備を促す制度も創設する。同じ調査で、自治体は全国約70カ所に市民緑地を整備する意向を示しており、さいたま市や千葉県柏市で具体的な検討が進んでいるという。
提供:建通新聞社