国土交通省は、5月29日の建設産業政策会議に、法制度・許可、企業評価、地域建設業ワーキンググループがまとめた提言骨子を報告した。法制度・許可WGは、受発注者に適正な工期を設定する責務を設け、工期ダンピングを禁止すべきと提言。企業評価WGは、経営事項審査の評価項目を見直し、生産性向上・働き方改革・地域貢献に取り組む企業への加点幅拡大を求めた。地域建設業WGは、市町村主体で建設業の振興が図られるよう、制度的な位置付けや国の支援策を検討することを提言した。政策会議は各WGの提言を踏まえ、6月中に報告書をまとめる。
昨年10月に発足した建設産業政策会議では、法制度・許可、企業評価、地域建設業の三つのWGを立ち上げ、分野別に10年後の建設業を見据えた議論を進めている。29日の会合では、これらのWGに加え、技術者制度見直しを検討している「適正な施工確保のための技術者制度検討会」の提言骨子が報告された。
法制度・許可WGでは、建設工事の請負契約に働き方改革や担い手確保の視点を盛り込むよう要請。長時間労働を是正するため、建設業法に受発注者が適正工期で契約を結ぶ責務を位置付け、受注者に工期ダンピング、発注者に不当に短い工期での発注を禁止することを提言した。
建設業許可では、許可要件の経営業務管理責任者や営業所専任技術者の見直しとともに、社会保険加入を許可要件や許可の条件に追加することを求めている。
企業評価WGは、公共工事の元請け、下請け、民間工事の元請けに区分して企業評価の在り方を検討した。公共工事の元請けの企業評価では、経審に生産性向上・働き方改革・地域貢献の視点で新たな評価項目を設けたり、加点幅を拡大するよう提案。専門工事業者の能力を見える化した評価制度の創設、民間工事の元請け企業に関する企業情報の開示なども求めた。
地域建設業WGは、地域建設業がインフラの整備・維持管理や災害時の応急復旧を担う「地域の守り手」の役割を維持できるよう、建設業関連制度を検討した。骨子では、地域建設業との関わりが深い市町村が産業振興を行うべきと提言。具体的には「地域建設業振興計画(仮称)」を策定した市町村が、建設業と連携して雇用創出や災害対応に臨めるようにする。
一方、技術者制度検討会では、現場に配置する技術者の要件を審査・登録する制度の構築を提言。併せて、重大な不正行為が発覚した技術者個人に対する処分制度を整備することも求めている。
提供:建通新聞社