国土交通省は、5月24日に開いた建設産業政策会議の地域建設業ワーキンググループで、事前に競争入札で選んだ複数企業から個別工事の契約先を選ぶ「フレームワーク方式」を導入する考えを示した。同方式は、人口減少によって、インフラの維持管理を担う建設企業の確保が難しい中山間地域での採用を想定。簡易な入札で選定した複数企業の中から、随意契約などで契約先を選ぶ。
国交省の調べによると、建設業許可業者が5者以下の町村は全国に30町村以上ある。一方、このうち許可業者が1者しかいない町では、単年度の普通建設事業費が10億円を超えており、担い手が不足した状況でもインフラの維持管理に対するニーズは依然として高い。
人口減少により、こうしたインフラの維持管理を担う企業の確保が一層難しくなる地域が増加することも懸念される。
国交省が導入を検討しているフレームワーク方式は、2008年に英国で導入された複数の指名候補者を事前に合意する制度。4年を限度に長期指名候補者を選定した上で、個別の発注予定案件に関する契約額の決定方法、契約条件を事前に合意する。個別工事が発注された場合には、合意に基づき改めて競争入札を行うか、随意契約で契約先を選ぶ。
中山間地域などの維持管理の担い手を確保できない地域では、入札を経ずに複数年の契約を結ぶことが、発注事務の負担軽減や企業経営の安定化を図る効果が期待される。
自治体の入札契約は、地方自治法で競争入札を原則としている。ただ、随意契約に関する規定は同法施行令の基準の範囲内で自治体が自主的に判断できるとされており、国交省では現行法の運用でフレームワーク方式を導入することが可能だとみている。
提供:建通新聞社