国土交通省は、新たな道路政策の方向性を示す社会資本整備審議会道路分科会の建議骨子案をまとめた。骨子案では、道路メンテナンスをセカンドステージ≠ノ移行させるため、点検データを生かした計画的な維持管理を実施するとともに、道路管理者が適正な予算を確保する方策を検討するよう提言。災害発生時の人の流れや平常時の物流を担う基幹ネットワークを指定し、重点投資により機能強化する方向性も示した。
建議骨子案は、5月16日に開いた道路分科会基本政策部会に示したもの。基本政策部会では、2015年12月から新たな道路政策を審議しており、6月中に建議をまとめる見通し。
骨子案では、道路管理者に橋梁・トンネルの定期点検が義務付けられて3年弱がたつなど、メンテナンスサイクルが構築される一方、加速度的に増加する老朽化インフラに限られた財源で対応するには、さらに取り組みを強化する必要があると指摘した。
具体的には、点検・補修の効率化に向けて、技術基準類や契約制度を見直す必要性に加え、ビッグデータ、AI(人工知能)、ITモニタリング、非破壊検査などの新技術の現場導入を要請。地方自治体が管理する道路施設は、利用状況を踏まえた集約化・撤去も図る。
これら更新費用を削減する取り組みに加え、持続的に道路を管理できるよう、必要な予算を安定的に確保する方策も検討する。財源確保に向け、有料道路の償還満了後も料金徴収を継続することや、一般道路で大型車対距離課金を導入することも検討すべきとした。
熊本地震の発生後、同県内の緊急輸送道路50カ所で通行止めが発生したり、渋滞で年間約280万人に当たる労働力が失われている現状を踏まえ、人とモノが平常時・災害時を問わずに安定的に輸送されるネットワークを構築する。
総延長10万`に上る緊急輸送道路は、高規格幹線道路や直轄国道を軸に絞り込み、基幹的な災害時の物流ネットワークとして改めて選定し、防災対策を重点的に実施することも検討すべきとした。災害時に脆弱(ぜいじゃく)性が懸念される区間は事前に代替路を明確にし、国が啓開や応急復旧などに積極的に関与する。
提供:建通新聞社