国土交通省は、工事完了後一定期間の性能保証を受注者に求める長期保証契約を舗装修繕工事やPC橋に拡大する。長期保証契約は、2012年度から直轄の新設舗装工事で全面適用しており、この対象に舗装修繕工事を追加。PC橋は、中部地方整備局で13年度に実施した試行の結果を検証し、試行の拡大を目指す。受注者に求める保証内容などを詰め、17年度中に数件を試行する考えだ。
長期保証契約は、初期投資から維持管理までのトータルコストを縮減するため、施工の完了から一定期間が経過した段階で受注者に性能保証を求めるもの。
新設舗装工事では、09年度に東北地整で試行を始め、12年度から全国の直轄工事に適用。新設舗装工事で受注者に性能保証を求めるのは「わだち掘れ量」と「ひび割れ率」で、各地整が各項目の保証基準を設けている。関東地整が13年度に初めて行った長期保証契約では、施工完了後5年後のわだち掘れ量を15_以下、ひび割れ率を15%以下とする契約としていた。
また、これらの基準を下回った場合、受注者に違約金や回復処置を求めているが、15年度末までに長期保証契約で発注した約300件で、違約金や回復処置を受注者に求めた工事はないという。
一方、PC橋の長期保証契約は中部地整で13年度に試行。施工完了後1年ごと、3年目まで桁端部のひび割れを調査し、ひび割れ幅を0・2_以下とすることを求めた。
国交省は、長期保証契約が、供用開始後の表層の初期変状を規定値内とすることにより、劣化の進行速度を抑制し、使用年数を長期化する効果があるとみている。舗装修繕工事とPC橋で求める保証内容や基準を固め、17年度中に試行工事を発注する方針だ。
提供:建通新聞社