国土交通省が進めるi−Constructionのトップランナー施策のうち、地方自治体は「施工時期の平準化」が建設現場の生産性向上に最も高い効果を発揮すると考えていることが、建設経済研究所の調査で明らかにになった。同研究所では、公共工事への依存度が高い中小建設業の生産性を高めるためにも、債務負担行為の拡大など「従前の慣習にとらわれない取り組みが望まれる」としている。
アンケート形式で行った今回の調査は、都道府県、政令市、中核市など109団体が回答した。調査結果は、同研究所の建設経済レポートに掲載している。
施工時期の平準化に向けた取り組みとして、自治体の活用実績が最も高かったのは債務負担行為の72%で、ゼロ債務負担行為の65%、前倒し発注の64%が続いた(複数回答)。余裕期間制度や早期繰り越し手続きの実績は50%に満たなかった。
債務負担行為やゼロ債務負担行為を活用する上で課題に挙げられたのは「事務手続きの時間と手間」で、議会承認や財政部局との調整を課題と考えていることが確認された。早期繰り越し手続きを進める上での課題でも、同じく事務手続きを課題に挙げる自治体が最も多かった。国庫補助事業の場合には財政部局に加え、地方財務局への説明も必要になることが背景にあるとみている。
同研究所は、自治体が施工時期の平準化を進めることは、建設業の生産性向上だけでなく、過度なダンピングや入札不調の防止、職員の事務の効率化など自治体自身のメリットにもなると指摘。契約担当部局と財政担当部局が連携し、積極的に平準化を進めるよう提言している。
提供:建通新聞社