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2017/04/10

地質情報を関係者間で共有 国交省が試行

 国土交通省は、直轄事業で地質情報を関係者が共有する試行を2017年度に開始する。試行では、地質調査業務を担当した技術者が、詳細設計段階で発注者と設計者が行う合同現地踏査と、施工段階で発注者・設計者・施工者で実施する3者会議に出席。地質に関わる潜在的なリスクを関係者で共有し、地質が要因となる施工の手戻りなどを防ぐ狙いがある。各地方整備局などで、業務1件以上、工事1件以上を試行する予定だ。
 今回の試行の目的は設計成果の品質確保。15年度に行われた3者会議で、施工着手前に修正箇所が見つかった設計成果は対象の34・5%(語句の修正、構造物に影響ない修正は除く)に上っている。修正は年々減少しているものの、図面(全体一般図、構造図、配筋図)、現場条件、数量など、施工の手戻りにつながる修正も多い。
 施工の手戻りには、杭基礎の打設深度不足、トンネル土かぶりの崩落、切土のすべり破壊といった地質に起因するものも少なくない。国交省は、地質調査の成果が設計・施工段階に十分反映されていないことが背景にあるとみて、地質情報を関係者が共有する『リスクコミュニケーション』の手法で問題解決を図る。
 具体的には、発注者・設計者(詳細設計)による現地合同踏査と、発注者・設計者・施工者による3者会議に、地質調査を担当した地質技術者が参加。関係者の協議の結果、地質の残存リスクが多いと判断される場合には、追加調査などを行い、設計・施工に反映する。
 試行の対象は、地質構造の複雑な箇所、地形の変化が大きい箇所など、地質情報の不確実性が高い現場の工事・業務から、地整ごとに工事1件以上・業務1件以上を選ぶ。地質技術者が現地合同踏査と3者会議に出席する費用は、随意契約により発注者が負担する。

提供:建通新聞社