厚生労働省は、企業・事業所と労働者の能力開発の実態を明らかにすることを目的として実施した2016年度「能力開発基本調査」の結果をまとめた。正社員に職業能力評価を実施した建設業の事業所は56・8%、正社員以外に実施した事業所は27・4%だった。建設業の事業所のうち64・1%が「職業能力評価の取り組みに問題を感じる」と答えていることが分かった。
建設業の事業所のうち「正社員に計画的なOJTを実施した」と回答したのは62・1%、「正社員以外に実施した」と回答したのは16・5%。前年度と比べ、実施事業所数はいずれの教育訓練ともにほぼ横ばい。
「正社員にOFF−JTを実施した」と答えた建設業者は79・3%。「正社員以外に実施した」との回答も31%あった。
建設業の事業所のうち、職業能力の開発や向上などについての相談に応じたり、助言したりする「キャリアコンサルティングを行う仕組みがある」と答えたのは、正社員に対するものがあるとした回答が38・6%、正社員以外に対するものがあるとした回答は19・8%だった。
今回の調査に協力した企業が、教育訓練に支出した労働者一人当たりの平均額は、日常の仕事を一時的に離れて行うOFF−JTに支出した費用の労働者一人当たりの平均額が2・1万円。自己啓発支援に支出した費用の労働者一人当たりの平均額が0・5万円だった。
また、人材育成に関して何らかの「問題がある」と回答した事業所も72・9%あった。
回答者が問題点として挙げたものの中で、最も多かったのは「指導する人材が不足している」(53・4%)で、「人材育成を行う時間がない」(49・7%)、「人材を育成しても辞めてしまう」(43・8%)などがこれに続いた。
正社員に対して重視する教育訓練については、「OJTを重視する」、または「それに近い」とする企業が74・6%(前回調査74・0%)を占めた。「OFF−JTを重視する」、または「それに近い」とする企業は24・1%(前回25・2%)となり、やや減少した。
職業能力評価の取り組みの問題点としては、全回答者の72・7%が「全部門・職種で公正な評価の設定が難しい」、49・6%が「評価者の評価内容にばらつきが見られる」ことなどを挙げた。
自己啓発の実施状況についても確認したところ、「実施した」労働者は、正社員が45・8%、正社員以外が21・6%だったが、いずれも増加傾向を示した。
正社員、正社員以外ともに自己啓発を行う場合の課題として、「仕事が忙しくて自己啓発の余裕がない」(正社員の59・3%、正社員以外の39・4%)を挙げた。
提供:建通新聞社