国土交通省は、直轄工事における熱中症対策を強化するため、土木工事安全施工技術指針を改訂した。指針に「高温多湿な作業環境下での必要な措置」の項目を新設し、現場に休憩場所を設置したり、作業員に熱への計画的な順化期間を設けるよう求めた。3月に改定した積算基準でも、これまでの「イメージアップ経費」の名称を「現場環境改善費」に改め、熱中症予防の経費を支出することを認めた。
2011〜15年の熱中症による死亡者は、建設業が44人と全業種で最多。熱中症による死傷者は、6月から増加する傾向にあるため、指針改定で早めの対応を受注者に呼び掛ける。
改定した指針では、高温多湿な環境で作業を行う際、簡易な屋根、通風・冷房設備の設置などでWBGT(暑さ指数)を低減することを要請。休憩場所を設置したり、作業休止や休憩時間を設けることで連続する作業時間を短縮することも有効だとしている。また、計画的に熱への順化期間を設けるため、作業前後の水分・塩分の摂取などを作業員に指導することも求めている。
同省では、地方整備局で採用された建設現場の熱中症対策の事例集も作成。受注者に事例集を配布し、各現場に対策の強化を働き掛ける。
提供:建通新聞社