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2017/03/31

社保未加入 現場入場制限「厳格な運用を」

■インタビュー 
国土交通省建設市場整備課長 木村実氏
木村実氏
 企業単位で建設業許可業者の加入率100%、労働者単位で製造業相当(約90%)を目指して始まった社会保険未加入対策が、目標年次の2017年度を迎える。この5年で加入率は着実に拡大したものの、目標達成には道半ば。国土交通省土地・建設産業局の木村実建設市場整備課長は「手を緩めずに対策を講じる」と取り組みを継続する姿勢を強調。4月から未加入企業・作業員の現場入場制限が求められる元請けには「厳格な運用を求めたい」と訴える。木村氏に目標年次以降の社会保険未加入対策について聞いた。

―2012年度にスタートした社保未加入対策の成果をどうみますか。

 「対策は、建設業の安定的な発展に必要な技能労働者の処遇改善と、法定福利費を負担する企業にとって公正な競争環境を構築するために始めた。加入率は、対策前の12年度と比べ、企業単位で12ポイント、労働者単位で19ポイントそれぞれ上昇した(2016年10月時点)。加入率の上昇に加え、業界内の意識変革も進み、この機を逃さずに加入しようという意識が広がってきたことも成果だ」

 「しかし、企業単位、労働者単位ともに加入率は目標に達していない。2017年度は一つの区切りだが、手を緩めず対策を継続しなくてはならない」

―『社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン』では4月から未加入企業・作業員の現場入場を制限するよう元請けに求めています。

 「ガイドラインで『現場入場を認めない扱いとすべき』としている未加入作業員について解釈を明確にする通知を昨年7月に関係者に送った。この通知を含め、元請けには、ガイドラインが何のためにあるのかという趣旨をよく理解した上で、現場入場制限の厳格な運用をお願いしたい。4月からは直轄工事で未加入の2次下請け以下を排除する措置も始まる。現場での下請けに対する加入指導も徹底してほしい」

 「対策に果たす元請けの役割の重要性はさらに大きくなる。この時期に手を緩めればこの5年の努力が台無しになる。われわれも気を引き締めて臨む。元請けも一層努力してくれると期待している」

―法定福利費の確保には国交省としてどう取り組みますか。

 「法定福利費の確保は対策の一番のポイント。法定福利費を内訳明示した見積書(標準見積書)は、対策の当初に比べれば普及しているが、活用率は依然6割弱。しかし、標準見積書を提出した企業ほど、法定福利費を確保できるという調査結果もあり、引き続き普及に努める。建設業法に基づく立入検査でも標準見積書の活用を求める」

 「さらに、元請け・下請け間の法定福利費の流れを把握する実態調査も行う。法定福利費がいきわたっていないのなら、障害は何なのか、まずは実態を把握し、施策に反映したい」

―2017年度に取り組む新たな対策は。

 「2017年度のできるだけ早い時期に『建設業社会保険推進連絡協議会(仮称)』を開き、これからの対策の内容を報告する。例えば、契約書での明示など、法定福利費の支払いの明確化のための措置や、各地域で社会保険加入への取り組みを定着させるための場の立ち上げ、地方自治体の発注工事における法定福利費の確実な計上、といったことを検討している」

提供:建通新聞社