国土交通省は、直轄事業にCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)を導入するに当たり、CIMモデルの作成手順などを記載した「CIM導入ガイドライン案(2017年度版)」をまとめた。ガイドラインは、土工・河川・ダム・橋梁・トンネルの5分野でCIMモデルに付与する属性情報やモデルの詳細度などを示したもので、これまでの試行から17年度からは本格導入へ移行する。同省は2025年をめどに直轄事業でCIMの活用を原則化する方針だ。
直轄事業では、13〜16年度に業務90件、工事196件でCIMを試行しており、この試行結果を踏まえてガイドラインや要領・基準をまとめた。 ガイドラインは共通編と各分野編(土工、河川、ダム、橋梁、トンネル)で構成し、共通編には受発注者が事前に協議して設定するCIMモデルの詳細度、設計段階から後工程に引き継ぐ情報などを記載している。各分野編では、調査・設計段階におけるCIMモデルの作成指針、施工段階や維持管理段階における留意点などを明記した。
CIM導入に合わせ、関連する基準・要領などもまとめた。「土木工事数量算出要領案」はコンクリート工などに3次元CADを適用できるよう、規定を見直し。「CIM事業における成果品作成の手引案」では、CIMモデルを電子納品する際の納品ファイル形式として、オリジナルファイルでの納品を求めるものの、国際的な交換標準であるIFCやLandXMLでの納品も認める。
17年度の直轄事業では、「発注者指定型」と「受注者希望型」で業務・工事を発注。いずれの方式でも、必要経費(CIMモデル作成費、関連機器レンタル費用など)は、発注者が負担する。発注者指定型では、ガイドラインに基づくCIMモデルの属性情報と詳細度、施工計画と連動した自動数量算出、3次元計測を用いた出来形管理などを求める。業務は、施工者がCIMモデルの作成に関与できるよう、ECI方式で発注する。
受注者希望型では、3次元による可視化で手戻りを防止できる▽IC・JCTの施工計画▽点検動線を想定した設計▽重機配置計画による安全性検討―などでCIMモデルを作成。地元説明などにもCIMモデルを使い、関係者の理解度向上に役立てる。
提供:建通新聞社